2013年02月23日

その場所に映画館ありて

2月14日。『東京は恋する』『二人の銀座』を観に銀座シネパトスへ(シネパトスは現在《〜映画でよみがえる昭和〜 「銀幕の銀座」懐かしの風景とスターたち》という特集を上映中)。ホントは和泉雅子のトークショーが行われる17日に行くつもりだったけど、この日はあらいさんのお父さんの四十九日法要のため埼玉のとある町へ。埼玉遠いと思ってたけど案外近かった。納骨時、お坊さんが読経してるあいだ、「この坊さん内心、競輪の結果が気になってしょうがないんじゃなかろうか」などとボンヤリ考えた。これは前日、池袋・新文芸坐で『競輪上人行状記』を観たため(今回のゼンマイ通信は映画のことばかり書いてますので、事前に情報を知りたくない方はご注意ください)。『競輪上人行状記』は想像してたより陰鬱な話だった。終盤、主人公と競輪場で出会った女との壮絶エピソードにシビれた。新文芸坐は現在《映画、演劇、芸能をこよなく愛し、演じることを、しんから楽しんだ 名優・小沢昭一さんを偲ぶ》という特集を上映中。『競輪上人行状記』上映の日は、加藤武のトークショーも観ることができた。加藤氏の巧みな話術のおかげもあって、小沢昭一のあるエピソードなどは、まるで1本の股旅物映画を観たかのような爽快感があった。あと、小沢氏の葬式での出来事など大変貴重な話しを聞けた。

【「貸間あり」「幕末太陽傳」の脚本】新文芸坐にて
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あらいさんのお父さんの法要のあとは、UFO CLUBに行くつもりだったけどあまりに疲れたため池袋で途中下車して新文芸坐へ。『痴人の愛』『越後つついし親不知』の二本立て。『痴人の愛』は楽しく鑑賞できたものの、『越後つついし親不知』のあまりにハードコア鬱な展開に精神の疲労はピークへ。観るんじゃなかった、、、というのは反対で観て良かった。途中、ラース・フォン・トリアー『越後つついし親不知』の影響受け過ぎだろ!と考えながら観たけど、単なる憶測だし、影響受けるのは悪いことじゃないと思います。それはいいとして、『越後つついし親不知』自体は素晴らしかったものの、どう考えても救いのない話しだったので、ちょっとでも楽になるためアタマの中で『二人の銀座』を再上映。『二人の銀座』良かったなー。観る前は、ただのアイドル歌謡映画だろと思ってた。なめてた。音楽映画として、青春映画として、映画として一級品だった。



劇中何度も「二人の銀座」が演奏されるんだけど、物語に沿って(演者の心情に沿って)アレンジがどんどん変化して行くのがスゴかった。最後の演奏シーンでは落涙。あと、著作権問題などを絡めた、“人がモノを作ること” の描きかたが秀逸で色々と考えさせられた。で、和泉雅子がとにかくカワイイ! 閉館間近の銀座シネパトスで観ることができたのも良かった。

銀座シネパトスといえば『その場所に女ありて』。これにも驚いた。もし「日本映画であなたの好きな作品10本は?」と聞かれたらこの鈴木英夫監督による50年前の作品『その場所に女ありて』は今後確実に入れる。この作品を超簡単に説明すると『銀座広告業界・仁義なき戦いビヨンド』。全体的にダメでセコい男達、主人公の同僚の完璧な男言葉で話す女性幹事長などといったクセのある登場人物達は、観る人によってはまったく受けつけない可能性もある。けど、鈴木英夫監督による抑えて乾いた演出は、登場人物の存在感に圧倒的なリアリティをもたらしてる。なぜ、彼女達はああいった振る舞いをするのか(しなければならないのか)、なぜ男達はあんなにもセコいのか、そういった性差で語る以前に人間というものはなぜにこんなにも哀しくオカしい存在なのか! 理屈っぽい話しは抜きにして、主人公の律子(司葉子)がとにかくカッコいい。シビれた! 

【その場所に女ありて】銀座シネパトスに飾られてる当時のポスター
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映画の話しついでにもう1本。現在、渋谷シネマヴェーラで開催中の《成田三樹夫特集》で観た『ひき裂かれた盛装』も素晴らしかった。傑作とまでは言わないけど、これからも長いこと偏愛できる映画を見つけることができて幸せなり。主人公の成田三樹夫(クールな強請屋。でも結構良い人)はもちろん、安田道代(痴人の愛!)&藤村志保(復習に燃える両刀使いの峰不二子といった役どころ)のWヒロイン、『その場所に女ありて』での抑えた演技とは打って変わってパッパラパーな浜村純、完璧サイコな小松方正、藤村志保のボディガード役の大平洋子(巨漢黒ぶちメガネで最強レズビアン)など、どのキャラクターも魅力的で、こうやって人物の説明だけしてると、キャラ優先の今風なただウルサいだけの映画みたいだけどまったくそんなことない。各エピソード、全篇落ち着いたトーンで描かれてるので、少々無理な展開も気にせず観ることができる(もちろん魅力的なキャラのおかげもある)。大映末期の成田三樹夫は(『貴様と俺』とか)、未完成な?妙な色気があって、70年代テレビドラマの時より個人的には好みかも。

他にも書きたかったけど、、、 つかれた。今回、メインは若尾文子の映画について書くつもりだったけど力尽きた。気が向いたらまた書こう。そういえば、映画とはあんまり関係ないけど、日本橋三越本店で開催されてた、『生誕100周年記念 中原淳一展』が良かった。原画の美しさ繊細さ、そしてそれを再現してた当時の印刷技術に感嘆。展示終盤には、中原淳一への思いを綴った、司葉子はじめ色んな役者さん達のサイン色紙もあった。東京での開催は終了したけど、各地巡回するそうなので気になった方は是非。ちなみに会場は年配の御婦人ばかり。皆さん懐かしそうに絵を眺めてらした。自分がもし80歳くらいまで生きてたら、その時は、誰の展覧会を懐かしがって観に行くんだろう。
posted by 薇頭 at 20:56| ゼンマイ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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